『湊線を考えるシンポジウム』出席。夕方から出張先へ移動。(3/21)2007年03月21日 23:59

『湊線を考えるシンポジウム』会場の様子。満員の聴衆が集まりました。(3/21)
 3月末までに茨城交通が廃止届けを提出するか否かも含め、事態がかなり不透明な中での開催となった『湊線を考えるシンポジウム』に参加してきた。

 ひたちなか市長の挨拶からは、公的支援実施も含む積極的な対応策を打っていこうとする姿勢が確かに見られたが、事業者の茨城交通側は、通り一遍の少子化の傾向やら自動車保有率の動向やらの一般論ではぐらかすだけで、具体的取り組みに関しては何ら表明しないという態度を一貫した。

 財務状況の説明では、黒字最終年度を平成2年と言い切り、以降の業績は10数年間一貫して不振で毎年数千万の赤字を生じているかのような誤解を誘導する方向での説明を行った。これは誠に遺憾なことである。

 事前に国土交通省鉄道局監修の鉄道統計年報の記載を調査して今回のシンポジウムに臨んだが、実際に茨城交通が国土交通省に届けている数字において、平成13年度は226万円の償却後黒字を出している。
 つまり茨城交通の鉄道部門は、ここ数年においても黒字だった年度があり、その前後約5年間においては赤字幅は最大でも年3700万程度で推移している。乗降人員、運賃収入とも低下する中でのこの業績は、まさに鉄道部門の職員の方々の精一杯の血の出るような努力の賜物と言っていいだろう。

 営業収支率は平成13年度以降110以下で推移しており、厳しい数値ではあるが、一定の額の補助がなされれば十分存続可能な状況であるといえる。
 何より、この資料で重要なのは、営業外収支と茨城交通が主張している沿線設置光ファイバの収益は、従来から、国土交通省に対しては明確に鉄道事業の収入の一部として計上されていることだ。

(注)光ファイバ:茨城交通の線路敷きには太平洋を横断する海底光ファイバケーブルの陸上部分が敷設されている。この光ファイバケーブルの地代・管理費等の名目で現在鉄道部門では年数千万円規模の収入がある。
茨城交通は近代化等の投資に6億が必要との試算を公表しているが、光ファイバーケーブルによる収益については別勘定としており、これがひたちなか市との間での対立軸のひとつとなっている。

 これは従来から茨城交通そのものが公式文書においても光ファイバによる収入を明確に鉄道部門の収入として位置づけてきていたことを示すもので、今の段になって光ファイバの収入を鉄道部門から切り離そうとする現在の態度は、場当たり的で根拠の無いものと言って良いと考える。

 また、光ファイバーの管理については、毎日往復する列車の乗務員や添乗の保線区員による監視など、鉄道沿線への設置でなければ得られない付加価値を湊鉄道線は通信事業者に提供していると言える。
 結論として、光ファイバは湊線の経営からは不可分のものであるといえる。

 儲かる部分だけを搾取して、あたかも鉄道事業の経営が酷く困難であるかのように見せかけようとする茨城交通の現在の姿勢にはかなり疑問を感じる。国土交通省に対する従来までの報告の数値を反故にしてまで光ファイバに執着する様子には怒りを覚えざるをえない。


 さて、実際にシンポジウムが開催されたのは湊の駅からは北側の台地上に位置することになる那珂湊公民館だった。(駅から徒歩1km強)
 開催通知には茨城交通湊駅下車以外記載が無く、場所を知らない方を呼ぶにはかなりハードルの高い場所ではなかったかと思われる。
 また、開催案内に地図が掲載されていないのは明らかに不親切であると思う。
 また、湊線のシンポジウムと言いながら、開会・閉会のアクセス時間に茨城交通を利用したにも関わらず、参加者の湊線利用者は10名居るか居ないかであったことも気になった。存続・存続と言いながら実際に乗車し利用しようとする行動には意識が直結していないとの印象を受けた。


 終了後は、出張のため沼津まで移動。
 ホリデー料金のG車と18切符で全区間楽勝着座で3100円也(所要約5時間)
 夕食は東京のえきっちんで580円の折詰とお茶を購入し、東京発沼津行きのE231のG車の車内で食す。

 宿には2230頃到着。眠剤を投入してからブログ作成。