CH-47J体験搭乗(2/14その1)2009年02月14日 23:59

北緯36度14.11分、東経140度31.95分の鉾田市遠坪上空、高度海抜497mにおいてCH-47Jの進行方向右側側面の半球形観測窓から右後方を撮影
 知り合いから、航空自衛隊百里基地で一般向けの体験搭乗の催しがあるとのことで紹介があり、会社では数少ないミリっ気の入ったF氏を誘って申し込んだ。なんとか抽選には漏れなかったようで、F氏ともども楽しみにしていたのだが、当のF氏が昨日になって風邪でダウン。会社の彼の行先表示が年休だったので、当日の集合時間等を連絡しようと携帯に電話したら余りにも辛そうだったので、とても翌日は無理と判断し知人経由で百里基地の担当部署にキャンセルの連絡をとった。
 知人からは午後になって連絡があり、身分証(運転免許)と印鑑を持ってきてくれれば別の人でも良いとのことだったが、会社でミリっ気が入っていて明日暇そうな人で気安く誘えそうな人など思いつかず、とりあえず周囲に声はかけてみるが興味をもってくれる人は居なかった。社外の知り合いにも定時後に電話をかけるが、今日の明日ではそうそう行ける人はおらず、帰宅後隣家の両親にも声をかけるがNG。
 結局一人で行く事になる。せっかくの防衛省の広報機会なので、一人分とは言え、無駄にしてしまうのは心苦しいのだが。

 とりあえずカメラの持ち込み自体はOKということなので、三脚レスでは準フル装備に近い装備を選択。帰りの足で湊線に回ることも選択肢として残すため、三脚もクリーン状態の参号機に積み込む。装備は以下。
 Nikon D3 (+Nikon GP-1)
 Fujifilm FinePix S5 Pro (+Nikon MB-200 & Nikon GP-1)
 AF-S NIKKOR 14-24mm F2.8G ED
 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G ED
 AF-S DX VR Zoom Nikkor ED 18-200mm F3.5-5.6G (IF)
 SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG HSM
 SIGMA APO 150-500mm F5-6.3 DG OS HSM
 SIGMA 10-20mm F4-5.6 EX DC HSM

 基地の正門脇には受付のテーブルが置かれ、車を基地の正門脇の駐車スペースに止めて先ずは受付。5組かそれ以上に分けられているらしく、名簿を見たら4組目に名前があった。大分待つ事になるかも知れないが、別な目的を遂行する時間が出来たことになるかも知れずそれはそれで良いだろう。
 受付で駐車票を受け取り、車のダッシュボードに表示して正門から入場。正門を入ってすぐの桜並木脇の広場に誘導される。航空祭では二輪の駐車場になる所だ。
 そこから少し門の側に戻った二階建ての建物に誘導される。基地の広報部門のあるところらしい。
 玄関の前で受付が行われており、身分証明書(運転免許証)を見せ、受付をしてもらう。集合時刻には未だ間があったのと、遅い組に割り当てられていたのとで、時間はたっぷりある。そこで、今回のもう一つの目的を果たすべく、ゲートガードの機体の写真撮影の許可をお願いする。

 百里基地の正門脇には「雄飛園」という歴代使用機体の展示場があって、F-86F・F-86D・F-104J・F-1・T-33・T-2が置いてあり、公開日であれば触ることもできる。基地祭や航空観閲式では人が回りにたくさん居て、クリーンな状態で撮影などはとてもできないのだが、今回のイベントの規模ならばクリーンな状態で撮影できる可能性は格段に高くなる。そして機体の設置方向からも、午前中の方がコクピットへのタラップの反対側に光が回るので条件が良いのだ。
 「機体の展示エリアに限り撮影はOKです」とのことで有り難いことに今回のイベントの目的の半分はすぐに許可がおりた。
 とりあえず、東側のエリアに並んで置いてある兄弟機のT-2(29-5175・ブルーインパルス塗装)とF-1(60-8274)から撮り始める。細部カットは後回しでとりあえず、光線の良いうちに全体のショットを押さえていく。F-104J(46-8630)、T-33(51-5629)、F-86F(92-7885)、F-86D(04-8197)。
 一通り撮り終える頃合に連絡を受けていた集合時間になったので、先ほど受け付けをした建物の二階に上る。二階は展示ブースになっており、自衛隊関係のパンフが色々と。『ご自由にお持ちください』とのことなので、F氏への土産も兼ねてふたつづつ頂戴する。

 ブリーフィングに呼ばれたのは一組目の人達で、おいらの順番はまだまだ先らしい。そう思って展示物をひとつひとつ細かく見ていたところ一組目で欠員が発生。空席のまま飛んでしまうと、遅刻して来た人間が乗れなくなるので、『二番目の組の方でお一人の方いらっしゃいませんか?』と声がかかるが、生憎皆さんグループでお越しの様子。おそるおそる「4組目なんですが私は一人です」と声をかけたところ、前倒しで搭乗決定。既にブリーフィングは終わって出発を待っている1組目のバスに担当の自衛官の方といっしょに駆け込む。バスの中では移動中おいらのために再度簡単なブリーフィングが行われた。また、搭乗者には万一の際に備えて番号のふられた金属製の認識票(タグ)が個人を確認しながら配られている。こんなことなら血液型とかも打ち込んであるMy認識票を首から下げて来るべきだったろうか(笑)。ようは意識不明になった時の個人の判定や、黒焦げ死体になっても個人の判別を容易にするための物だが後者については今はDNA鑑定があるだろうし、タグがあっても念のためにDNA鑑定はやるんだろうなーとか思ったり。

 百里のただっぴろいエプロンだが、休みの日の今日は外に出ている作戦機はおらず、百里救難隊のU-125が1機遠くに止まっているのと、今回我々が搭乗する輸送ヘリコプターCH-47J(27-4481・航空救難団入間輸送ヘリコプター隊)が正面に駐機しているのみ。
 しばしの機外からの撮影タイムの後、CH-47Jの2機のT55-K-712ターボシャフトエンジンが目覚め、轟音を奏ではじめる。
 開いている機体後部のランプに向けてランプの真横から三列縦隊で進む。なんでもこの機体、聞くところによるとローターの回転エリアで地面から余り離れていないエリアがあり、その方向からローターが回っている機体に近づくと首を飛ばされるとかなんとか。。。エンジンが頭のすぐ上なのと既に回転しているローターの風圧でかなりの迫力。
 機内は壁に作り付けのアルミパイプとカンバスで出来た簡易シートが展開されておりそれに座りベルトを付ける。輸送時の最大定員は55名とのことだが、今回は体験搭乗者30名にサポートの隊員さんが3名ほど。55人乗ったらかなり狭そうだし、軽装の体験搭乗者ではなくフル装備の自衛官が乗るとしたらそれなりに余裕のあるように思えるシートの巾自体もそういう条件ではかなりきつそうだ。
 ベルトとヘッドセット(耳栓)を付けて周りを見回してみると、窓の数が最小限のせいもあって機内はうす暗く、何より窓が最小限のため視覚による機外の情報量がかなり少ない。実戦でこの中に閉じ込められて戦場に運ばれ、降機してすぐ戦闘展開しろとか言われたとしたらかなりの精神的圧迫と不安を感じるであろうことは想像に難くない。
 タキシングの後、離陸。。。したはずだがその瞬間は良く判らなかった。浮き上がったろうと感じたのは尻の体重の感触が変な方向に揺さぶられる感じのしたほんのちょっとの時間。機体が高度を上げ始めると不安定な感じはほとんどしなくなっていた。二本の百里基地(空港)の滑走路の南側を機体は右旋回して東から西に横切り茨城県庁の方向に向かう。現在は茨城空港のために建設された西側の新滑走路のみが運用されており、従来の滑走路には電飾付きの×印が何箇所もしてあって、使用停止になっている。従来の滑走路の補修工事はこれから本格化するようだ。
 しばらくして首を曲げた視界の端の窓に涸沼の湖面が見え始める頃、ベルトを外し機内を歩き回って良いとの許可が出る。驚いたことに全くと言って良いほど不快な揺れを感じない。ヘリコプターというものは不安定な乗り物だろうというイメージを少なからず持っていたのだが、少なくともタンデムロータの大型ヘリというのはかなり乗り心地の良いもののようだ。
 真っ先に通路からコクピットの様子を撮影。貨物室の進行方向右側の窓には涸沼が見えている。場所を他の体験搭乗者と譲り合いながら撮影を続ける、窓が空いていない時でも、機内のアクセスパネルの様子とか、床面の横転時の脱出口の表示とか、ホイストの制御パネルとか、ミリっ気バリバリのおいらには宝の山、玩具を与えられた子供。
 次に進行方向右側の窓から見えたのは北関東自動車道と6号バイパスとのアクセスポイントである茨城町東IC。手前には茨城県自動車学校が見える。旧6号国道の上空付近を予定通り県庁に向けて北上していることになるのだろう。
 意外とコクピットのかぶりつきは人気が無いようで空いているのでまたかぶりつく、左方向には赤塚駅と一帯のマンション群が見える。ここから機体は右に旋回を始めた、正面には常磐高速道路の那珂川大橋と並行する県道の国田橋、そして水道橋が見える。ということはこのまま行くと図らずも『我が家の空撮』ができることに気がつく(爆)。しかし、標準ズームしか付けておらず、レンズ交換・カメラ交換とも一度自席に戻らねばならず残念ながらそんな時間的猶予は無かった。それでもなんとか操縦席のキャノピーの枠ギリギリで自宅のエリアを捕捉し撮影。
 機体は更に右旋回をつづけているので、進行方向左側の窓から、先客の頭越しになんとかもう1回撮影のチャンスをものにする。後でチェックした画像では、ものの見事にこの時期はロービジで田んぼに見事に溶け込んでいるはずの茶色い外壁の我が家が写っていた。

 そして驚いたことに、僅かしかない通路とキャノピーの開口部のみからのGPS衛星からの信号を受信してカメラに取り付けたGPSユニット「Nikon GP-1」はちゃんと測位データを記録していた。
 この後も条件によるがGP-1は通路の先のコクピットの窓と小円の窓が8つしか無い輸送ヘリコプターの機内で、曲がりなりにも高度まで含んだ3D測位データを吐き出していた。
 従来使っていたハンディGPSのガーミンのETrekよりも測位開始が早い事はそれ以前にも実感していたのだが、航空機の上で使い物になるとは思ってもいなかった。搭乗空間の開放度の高いシングルロータのヘリなどであれば、これはかなり使いでのある装置であることは間違いない。というか、Nikonさんのことだから、この使用条件を想定していたのかも知れないと気づき、その効果・利便性と定価21000円、実勢で16000円程度強という価格設定とのギャップに眩暈を覚えた。
 その後那珂川上空を東へ飛行し、鹿島臨海鉄道大洗駅上空で右旋回し南方へと進路をとり、鹿島灘を左に見て南下、その後また右旋回をして百里基地へと進路をとる。
 というわけで、今回のお題は北緯36度14.11分、東経140度31.95分の鉾田市遠坪上空、高度海抜497mにおいてCH-47Jの進行方向左側側面後方の半球形観測窓から左前方を撮影したものである。

 上記の撮影後、後方のカーゴドアの操作盤を撮りに行こうとしたのだが、惜しくもタイムアップ、着席/ベルト着用の指示が出た。
 着陸も妙なフワフワ感が若干続いた後、いつの間にか接地してタキシングに移っていた。ベルトを外しヘッドセット(耳栓)を外し、認識票(タグ)を返却して降機。2組目の体験搭乗者と入れ替わりでバスに乗車。先ほどブリーフィングのあった広報施設のある建屋の前までバスで移動。下車時にお土産のパンフレットや女性自衛官カレンダー(萌えっ)・クリアファイル(F-2の写真入り)etcの入った紙袋をいただく。

 その後、また「雄飛園」で、今度は機体の細部の撮影。巣材を咥えて機体の隙間に入っていくスズメが居たり。F-1のバルカン砲の発射口を覗き込むと中には巣材がみっちり。このまま発射すると機関銃弾でなくスパロー(スズメ・AIM-7空対空ミサイルのニックネーム)が発射されるわけだ(ぉぃ)。
 高翼に胴体の細い機体ということで、主脚のトレッドを確保するため、かなり複雑な作りになっているF-1/T-2の主脚の細部の写真なども撮れて大満足。ゲートガードのF-104は北向きなのでクリアな画像は厳しかったがいろいろとアングルを変えて自由に撮影できて大収穫だった。
 撮るだけ撮ったので、お昼前に百里基地を後にする。正門で駐車票を返却してそのまま車を家に向ける。
 多少疲れを感じていたのと、湊線に出るとしても、午前中に大量の画像を撮影してしまったため、湊線に出る前にカメラ内の画像データを吸い上げて撮影可能枚数に余裕をもたせておきたいという気持ちもあった。

 実際に家に戻り、パソコンに向かうがCFからハードディスクへのデータの転送のセットをしたところ猛烈な眠気に襲われ、お昼過ぎなのに轟沈。

 後半は湊線ネタになります。